3分でわかるH.I.S.
格安海外旅行のパイオニアがコロナ禍を乗り越え、旅行×ホテル×DMCの「総合トラベル企業」へ進化中
2025年10月期にコロナ前水準へ業績回復。ホテル事業は最高益を更新
旅行業界内ポジション
HISは格安海外旅行特化から出発し、ホテル事業・グローバルDMCへと多角化。JTBが国内旅行・法人MICEで盤石なのに対し、HISは海外旅行×インバウンド×ホテルの成長性で差別化する。
3つのキーワードで理解する
格安海外旅行のパイオニア——「旅行を庶民のものに」した会社
H.I.S.は1980年、澤田秀雄氏が大阪で創業。当時は高嶺の花だった海外旅行を格安航空券の仕入れ力で庶民に開放した。「どこへでも行ける」という感覚を日本人に与えた会社。現在も格安・バリュー系の海外旅行では国内最大規模の取扱高を誇る。ただしコロナ禍で大打撃を受け、2020〜2022年は赤字転落。2023年以降は旅行需要の回復とともに業績がV字回復している。
コロナ禍を乗り越えた——苦境と再生の物語
コロナ禍の3年間でHISの売上は最大で前年比90%減に落ち込み、ハウステンボスを売却(2022年、香港ファンドへ)。旅行事業の縮小、希望退職、コスト削減を断行。2023年10月期から黒字に転換し、2025年10月期は売上3,731億円・営業利益116億円とコロナ前水準に回復。「苦境からの再生」を語れる会社という点が、就活でのエピソードの宝庫でもある。
旅行会社の枠を超える——ホテル・DMCへの多角化
HISは旅行の「送り出し」(アウトバウンド)だけでなく、ホテル経営・着地型ツアー(DMC)・インバウンド受け入れへと事業を広げている。特にホテル事業は訪日外国人の増加で高稼働が続き最高益を連続更新。2030年に向けた中期経営計画では「旅行:非旅行=1:1」の事業ポートフォリオを目指す。
身近な接点
格安海外旅行の予約
ヨーロッパ・ハワイ・東南アジアへの格安パッケージ。HISで旅行した経験を持つ人は多い
HIS直営ホテル
全国の主要都市に展開するホテル。インバウンド需要で高稼働が続く
会社の出張手配
法人向け旅行サービス。企業の出張・研修旅行・インセンティブツアーを手配
訪日外国人向けツアー
海外現地法人が外国人旅行者向けに日本国内ツアーを企画・運営
ひよぺん対話
HISってJTBと何が違うの?どっちも旅行会社でしょ?
大きな違いは「誰をターゲットにしているか」と「どこで稼いでいるか」。JTBは国内旅行・法人MICEが強く、全国に店舗網を持つ「総合旅行会社」。HISは海外旅行特化・格安志向・個人旅行向けから出発した会社。今は両方やってるけど、HISの特徴は海外現地に自社の仕入れ拠点(現地法人)を持っている点。現地から直接ツアーを組めるから値段を下げやすい。あとホテル事業に本格進出しているのもHISの特徴。JTBはホテルを持っていない。
コロナ禍でハウステンボス売ったって聞いたけど、会社は大丈夫なの?
ハウステンボスの売却は確かに痛かったけど、今は業績回復済み。2025年10月期は売上3,731億円・営業利益116億円で、コロナ前(2019年10月期:売上約7,000億円・ただしハウステンボスとエネルギー事業含む)と比べると事業規模は小さくなったが、利益の質は改善している。ハウステンボスとエネルギー事業という「不採算事業」を整理したともいえる。今のHISは旅行の稼ぐ力+ホテルの安定収益のシンプルなモデル。
旅行業界って将来AIや個人手配に取って代わられない?
確かにホテル・航空券の個人手配はBooking.comやAgodaで代替可能になった。HISも正直その影響を受けている。でもHISが生き残っている理由は「まとめて安く」と「複雑な旅行の安心感」。個人で欧州周遊の複数都市ホテル+鉄道パスを手配するのは面倒。HISのパッケージなら一括で安い。あと添乗員付きツアーの需要は減っていない——むしろコロナ後は「安全・確実」を重視するシニア層の需要が戻っている。AIで完全代替されるわけではないけど、単純な手配業務は縮小していくのは事実で、HISもホテル事業・DMC事業で脱「旅行代理店」を進めている。