電通総研の成長戦略と将来性
「AIでSIerの仕事はなくなる?」——Horizon 2027と電通グループ連携で読み解く、電通総研の未来。
なぜ電通総研は潰れにくいのか
電通グループ——日本最大の広告会社グループがバック
電通グループ(売上約6兆円)が約60%を出資。広告業界の構造変化はあれど、「企業のマーケティング投資」はなくならない。電通グループの安定した顧客基盤がDBJのビジネスを下支え。
金融SIの「スイッチングコスト」が極めて高い
メガバンクの市場リスク管理システムを10年以上運用保守してきた実績。銀行がシステムを別会社に切り替えるには数年と数十億円が必要。一度入ると抜けにくいストック型のビジネスモデル。
上場企業としての独立性
電通グループの子会社だが、東証プライムに上場(4812)。独自の経営判断ができ、電通以外の顧客も多数。「電通が傾いたら終わり」ではなく、独立した事業基盤を持っている。
複数の柱——金融・製造・マーケティング・HRの分散
金融SI(35%)、製造ソリューション(25%)、マーケティングDX(20%)、HRテック(10%)と事業が分散している。1つの業界が不振でも他で補える構造。
3つの成長エンジン
金融SIの深化——メガバンクから証券・保険へ横展開
メガバンクの市場系システムで培った金融×ITの専門性を、証券会社・保険会社にも展開。FRTB対応、リスクAI、規制テックの需要は今後も拡大。2027年度に金融ソリューション売上750億円を目指す。
マーケティングDX——電通グループのデータを武器に
電通が持つ広告配信データ×企業の購買データを統合するCDP構築、マーケティングオートメーション、広告効果測定。他のSIerにはできない「データ×クリエイティブ×IT」の融合で差別化。
コンサルティング強化——「提言→構築」の一気通貫
旧電通総研(リサーチ会社)の吸収合併でシンクタンク機能を獲得。「調査→提言→システム構築」を一社で完結。NRIやアクセンチュアとは異なる「SI力がベースのコンサル」で勝負する。
AI・自動化でどう変わる?
SIer × AI の未来
生成AIでコーディングの生産性は劇的に上がる。しかし電通総研の価値は「コードを書く」ことではなく、「金融規制を理解してシステムに落とし込む」「広告データをビジネス価値に変換する」という業界知識×IT設計力。AIは道具として活用しつつ、「何を作るべきか」を考える力がますます重要になる。
変わること
- 生成AIによるコード生成: 定型的なプログラミング(CRUD操作、テストコード等)はAIが自動生成。エンジニアは設計・レビューに集中
- テスト自動化の高度化: AIがテストケースを自動生成し、テスト実行・結果分析まで一気通貫で自動化
- データ分析の民主化: 非エンジニアでもAIに質問するだけでデータ分析ができる環境。データサイエンティストの仕事は「高度な分析設計」にシフト
- マーケティングの自動最適化: AIが広告配信・パーソナライゼーション・効果測定を自動で最適化。人間は戦略設計に集中
変わらないこと
- 金融規制の解釈と設計: バーゼル規制の解釈→システム要件への落とし込みは、金融知識×IT知識が両方必要な人間の仕事
- クライアントの業務理解: 「この銀行のトレーディングフローはどうなっているか」を深く理解し、最適なシステムを設計する力
- 新技術の事業適用: ブロックチェーン、量子コンピューティング等を「具体的なビジネス価値」に変換する構想力
- 電通グループとの協業企画: 広告データ×ITの掛け算で何ができるかを構想するのは、両方の世界を理解した人間の役割
ひよぺん対話
Horizon 2027って何?分かりやすく教えて。
電通総研の中期経営計画。2027年度までの目標を掲げている——
1. 売上収益2,200億円(現在1,649億円→33%成長)
2. 営業利益率15%(現在13.9%→さらに収益性UP)
3. コンサルティング強化(SI企業→「コンサル×SI」ハイブリッドへ)
成長の3本柱は——
・金融SI基盤の深化: メガバンク以外の証券・保険への横展開
・マーケティングDX拡大: 電通グループ連携で顧客企業のデータ活用を支援
・コンサル機能の強化: SI力をベースにしたDX戦略コンサルティング
就活で「Horizon 2027」に触れると、企業研究の深さをアピールできるよ。
AIでSIerの仕事ってなくなるんじゃないの?コード書くのはAIでよくない?
ぶっちゃけ「コードを書くだけ」の仕事は減る。でも電通総研の仕事は「コードを書く」じゃなくて——
・「バーゼル規制のFRTBに対応するリスク計算エンジンをどう設計するか」
・「メーカーのサプライチェーンを3DEXPERIENCEでどう最適化するか」
・「電通の広告データとECの購買データを繋いで何が見えるか」
これは「業界知識×ビジネス理解×IT設計力」の掛け算で、AIには当面できない。むしろAIを使ってコーディングを効率化し、浮いた時間で「設計」と「提案」に集中するのが電通総研の方向性。
「AIに仕事を奪われるSIer」ではなく「AIを使いこなすSIer」になれるかが勝負。電通総研はその点で有利だよ。
30年後も電通総研は存在してると思う?
存在すると思うけど、中身は変わっている——
・「SIer」→「デジタルコンサルティングファーム」にポジションが進化
・金融SIは「システム構築」→「規制テック+リスクAI」の専門企業に
・マーケティングDXは「データ基盤構築」→「AIマーケティングの運用代行」に
・製造ソリューションは「PLM導入」→「デジタルツイン+生成AI」の設計パートナーに
「コードを書くSIer」は30年後にはいないかもしれないけど、「業界の深い知識×テクノロジーで企業を変える」会社は確実に生き残る。電通総研はその方向に向かってるよ。