成長戦略と将来性
2025年3月期の業績悪化を経て、電動化とアジア特化で立て直しを図る。リスクを正直に見ながら、成長シナリオを整理する。
安定性の根拠
日産アライアンスという安全網
日産が筆頭株主のため、三菱が単独で危機に陥っても「アライアンスとして救済される」可能性が高い。2016年に燃費不正問題で危機に陥った際も日産の資本参加で立て直した実績がある。独立した中堅メーカーより破綻リスクは低い。
ASEAN市場での根付いた顧客基盤
タイ・インドネシア・フィリピンでは長年の販売実績があり、現地にブランドの信頼がある。特にトライトン(ピックアップ)・パジェロスポーツ・アウトランダーは現地で根強いファンがいる。「外資に簡単に置き換えられない」ポジションを持っている。
PHEV技術という唯一の専門性
トヨタのHEV、日産のBEV(リーフ)のように、三菱はPHEVで独自の技術的ポジションを確立している。PHEVはEVインフラが未整備の地域では最も現実的な電動化手段として需要が続く。
3つの成長エンジン
⚡ EV本格参入(2026年〜)
日産の次期リーフをベースとしたBEV・鴻海からのEV供給など、2026年以降にEVラインナップを大幅に強化。PHEVからBEVへの拡張で電動化ポートフォリオが充実する。
🌏 ASEAN市場での販売拡大
中間層が拡大するASEAN市場(タイ・インドネシア・フィリピン)でのシェア維持・拡大。新型SUV・ピックアップの投入で現地ニーズに応える。タイへの生産集中と輸出拡大も継続。
🔋 PHEVを日産・他社に供給
三菱独自のPHEVシステムを日産の北米市場向けモデルにOEM供給(2026年予定)。技術を「売る」ビジネスが新たな収益源になる可能性がある。
中期経営計画「Challenge 2025」の方針
電動化×アジア×連携の三本柱
三菱自動車の立て直し戦略
- 電動化9車種投入:2025〜2026年にかけてBEV・PHEV・HEVを順次投入
- ASEAN収益改善:タイでの構造改革・インドネシア・フィリピンでの販売強化
- 日産連携深化:EV・PHEVの相互OEM供給でラインナップ効率化
- コスト削減:固定費削減・生産効率向上で利益体質改善
AIで変わること・変わらないこと
変わること
- ADASの高度化(AI自動運転支援の機能拡充)
- 設計・CAE(コンピュータ解析)の効率化(AI補助)
- 生産工程の異常検知・品質管理(AIカメラ等)
変わらないこと
- PHEV・EV物理的な動力系の設計・評価(エンジニアの経験知)
- 海外現地法人でのビジネス交渉・関係構築(人間力)
- カーデザイン(感性的な判断)
- 安全・リコール対応(法的責任・対人業務)
ひよぺん対話
「自動車業界はEVシフトで大変だ」っていう話をよく聞くけど、三菱自動車は乗り越えられるの?
正直言うとリスクはある。でも三菱にはいくつかの「強み」がある。第一にPHEVという「EVの手前」の選択肢を持っていること——充電インフラが不十分なASEAN・途上国市場ではEV単体より現実的な解決策。第二に日産アライアンスでEV技術・プラットフォームを共有できること。第三に欧米より競争が緩やかなアジア市場に集中していること。トヨタ・ホンダのような全方位戦略は難しいが、「得意市場×得意技術に特化して戦う」という明確な方針が取れている。
AIが普及したら自動車エンジニアの仕事はなくなる?
AIは設計ツール・シミュレーションを効率化する方向に進んでいるけど、自動車エンジニアがなくなることはないよ。車は物理的な製品で、最終的には実際の路面で走らせてテストする必要がある。PHEVのモーター・電池・エンジンの制御最適化、SUVの4WD走行性能の現場評価——これらはAIが「補助」できても人間の判断・経験が不可欠。むしろ「AIを使いこなせるエンジニア」の価値が上がる時代で、デジタル×物理の両方が分かる人材が求められてる。