成長戦略と将来性
原子力回帰・防衛費倍増という2つの「国策の波」が直撃する——JSWの成長戦略はまさに時代の流れと合致している。
安定性の根拠
超長期の受注サイクル(原子力)
原子力発電所の建設は計画から稼働まで10〜20年。一度受注が決まれば長期にわたって安定した売上が続く。世界の原子炉建設パイプラインに入っているプロジェクトが複数あり、長期受注残高が積み上がっている。
国の予算で裏付けられた防衛受注
防衛省との契約は国家予算で裏付けられており、民間企業のような受注変動がない。防衛費倍増方針により、今後10年以上にわたって増産要請が続く見通し。
プラスチック機械の安定した補修・更新需要
既存の射出成形機の補修部品・更新需要は景気によらず一定程度存在する。自動車・電子機器の製造は続くため、設備の維持・更新需要は安定している。
3つの成長エンジン
原子力ルネサンスの長期受注拡大
欧米のSMR(小型モジュール炉)開発、アジア新興国の原発新設、既存炉の運転延長——世界中の原子力需要がJSWの超大型鍛鋼品の需要を押し上げる。2025年3月期の素形材事業が好調だったのもこの流れの表れ。
防衛費2倍増に伴う装備品増産
砲弾の国内調達増・火砲の増産・新型防衛装備への対応——防衛費倍増計画の期間(2022〜2027年)で防衛関連の受注が大幅増。さらにその後の継続受注も見込まれる。
カーボンニュートラル機器への参入
水素製造装置・バイオマス発電設備・CO2回収装置——製造ノウハウを活かして脱炭素機器に参入。大型鍛鋼品の技術が水素貯蔵タンクの製造にも応用できる。
AIで変わること・変わらないこと
変わること
- AI・シミュレーション活用で鍛造・熱処理プロセスの最適化が進む
- 射出成形機の制御にAIを組み込み、不良率ゼロ・省エネを実現
- プラント設備の予知保全(AI故障検知)で顧客への付加価値提案が変わる
- 防衛関連でも自律型兵器・AIセンサーとの連携が今後の課題になる
変わらないこと
- 超大型鍛造品の品質は人間の職人的判断が今も必要——AI補完は限定的
- 原子力の安全規制・品質証明は人が責任を持つ——AI代替不可
- 防衛省・防衛装備庁との交渉・関係構築は人的なやり取りが核心
- 新技術(水素・SMR)の顧客開発は人脈・信頼関係が前提
2025年3月期・2026年3月期の業績
2025年3月期は営業利益228億円(前年比+26.7%)と大幅増益。受注残(バックログ)が積み上がり、2026年3月期は売上高2,900億円・営業利益245億円を見込む。受注高は3,000億円を超える見通しで、今後数年間の業績が既にほぼ確定しているに近い状況。
ひよぺん対話
防衛費倍増ってよく聞くけど、JSWにとって本当に大きいの?
相当大きい。具体的には、日本政府は2022〜2027年の5年間で防衛費を43兆円規模に拡大する計画。砲弾・火砲の国産調達は増産が確定しており、JSWの防衛関連受注は複数年にわたって確実に増える。株式市場もこれを評価していて、JSWの株価はここ数年で大幅に上昇している。会社の業績を大きく動かす話だよ。
原子力って「また廃炉になる」リスクはないの?
2011年の福島以降に廃炉を経験しているので、リスクがゼロとは言えない。ただ現在は「脱炭素のためにどうしても原子力が必要」という議論の方が強くなっている。国内では再稼働・延長が進み、海外では新設ラッシュ。仮に国内が再び規制強化されても、JSWの主な市場は今や海外。受注がゼロになるシナリオは現実的ではないと考えていい。ただしリスクを把握した上で入社することは大事。