成長戦略と将来性

政府DX・企業クラウド化・サイバー攻撃増加——IIJの3つの成長エンジンが今まさに動き出している。

安定性の根拠(なぜ潰れにくいのか)

インターネットインフラは「止められない社会インフラ」

IIJが提供するネットワーク・クラウドサービスは、企業・官公庁の業務の根幹を支えるインフラ。一度導入されると簡単には乗り換えられない(スイッチングコストが高い)。大手銀行・省庁がIIJを使い続けているのは、「今すぐ乗り換えたら業務が止まるリスクがある」からでもある。

1992年から積み上げた技術資産・信頼関係

日本のインターネット黎明期から30年以上、金融・官公庁・製造業の基幹ネットワークを支えてきた実績は、後発企業が簡単に追いつけない参入障壁。「IIJに頼めば安心」という信頼は、数十年かけて作られたブランド資産で、一朝一夕には崩れない。

KDDIとの資本業務提携による競争力強化

2023年にNTTからKDDIへの主要株主交代(約10%)。KDDIの通信回線×IIJの技術力の組み合わせで、法人モバイル・ハイブリッド回線のソリューションが強化された。NTTグループに依存せず、KDDI・独自の3つの調達経路を持つことで、コスト・品質の両面でフレキシブルに対応できる。

成長エンジン

政府DX・ゼロトラスト移行(公共)

日本政府の「2026年度までのゼロトラスト移行完了」方針を受けて、官公庁・自治体のネットワーク更改案件が急増。IIJはこの分野の実績が豊富で、FY2024に大型SI案件15件・約450億円を受注。2025年度も3,400億円の売上を計画する強気の姿勢。

企業クラウド化の加速(マルチクラウドMSP)

FY2025のクラウド関連売上は365億円(前年比9.3%増)で成長中。企業がオンプレから複数クラウドに移行する際、「どのクラウドが最適か」を中立的に選んで回線から一括で管理できる「マルチクラウドMSP」の需要が増えている。IIJはAWS・Azure・GCPのパートナーかつ自社クラウド(IIJ GIO)も持つため、中立な立場で最適提案ができる。

セキュリティ需要の拡大(サイバー攻撃増加)

日本でのサイバー攻撃件数は年々増加しており、特にランサムウェアによる企業被害が深刻化。SOC(セキュリティオペレーションセンター)を持つIIJへの問い合わせが増えている。「ネットワークのことを知っているセキュリティ会社」という強みで、純粋なセキュリティベンダーと差別化できる。

2026年度に向けた数値目標

FY2026(2026年3月期)見通し

  • 売上収益:3,400億円(FY2025比 +7.3%増)
  • 営業利益:370億円(FY2025比 +22.9%増)
  • 当期利益:235億円(FY2025比 +17.9%増)

IIJが示す成長の自信は、政府DX・企業クラウド移行という明確な市場需要に根ざしている。

AIで変わること・変わらないこと

変わること

  • ネットワーク設定・構成管理の自動化(Netops Automation)
  • 障害検知・障害対応の一部自動化(AI異常検知)
  • 定型的な監視業務・レポート作成作業
  • クラウドコスト最適化の自動推薦

変わらないこと

  • 上流の設計・アーキテクチャ判断(「どのクラウドを組み合わせるか」等)
  • 顧客の要件ヒアリング・技術提案(対人折衝)
  • 複雑な障害のトラブルシューティング(経験と勘が必要)
  • 新技術の評価・導入判断(新しい問題に対応するリサーチ力)
  • セキュリティインシデント対応(人間の判断が不可欠な局面)

ひよぺん対話

ひよこ

AIが進化したらネットワークエンジニアの仕事ってなくなるの?

ペンギン

定型的な作業は自動化されるけど、「ゼロになる」はかなりの誇張だよ。確かに「ルーターの設定を手打ちする」「障害が起きたら特定のコマンドで確認する」みたいな定型作業はAIとの自動化ツールに置き換わっていく。でも、「この会社のネットワーク要件は何か」「複数クラウドをどう組み合わせるべきか」「未知のサイバー攻撃にどう対処するか」というような判断と設計の仕事は、むしろAI時代に価値が上がる。なぜかというと、ネットワーク量やシステムの複雑さはAI・IoT・クラウドの普及でどんどん増えているから。管理する量が増えれば、高度な専門家の需要も増える。「AIをツールとして使いこなすネットワーク専門家」は、20年後も引く手あまたのキャリアだよ。

ひよこ

IIJって30年後も存在してる会社?規模が中堅だから不安...

ペンギン

中堅規模であることは確かだけど、「潰れる可能性が高い」とは思わない。理由は3つ。①インフラ企業の強固な継続性: 銀行や官公庁がIIJのネットワークを止める日が来るとしたら、それは社会全体がインターネットをやめる日——それは現実的にない。②独立系であることの強み: NTTグループやKDDIグループは再編が繰り返されているが、IIJは独立系として自分の意思決定で動ける。2023年のKDDI資本提携もIIJが主体的に選んだ判断。③30年の技術蓄積は真似できない資産: 競合が参入しようにも、「金融・官公庁の案件を安全に運用してきた実績」は後発では追いつけない。ただし「規模を拡大して超大手になる」という路線を選ぶよりも、ネットワーク専門性というニッチで深く掘り下げる戦略で生き残るタイプの会社だよ。