成長戦略と将来性
鉄鋼スクラップのリサイクル需要・EV化による鉄の需要変化——阪和興業は「鉄の世界の変革」に乗る姿勢で成長を描いている。
安定性の根拠
鉄鋼は「インフラを作るモノ」——需要は途絶えない
橋・ビル・鉄道・船・自動車——社会インフラのすべてに鉄が使われる。国内需要は人口減少で緩やかに縮小するが、アジア新興国のインフラ整備需要は伸び続けており、輸出でカバーできる。
加工センター機能で付加価値を提供
ただ売買するだけでなく、自社の鉄鋼加工センターで顧客仕様に合わせた切断・加工・保管サービスを提供。「素材の流通業」から「加工サービス業」への転換が、差別化と利益率改善につながっている。
三菱商事グループのバックによる信用力
大口の取引では取引先からの信用が重要。三菱商事グループの持分法適用会社という地位が与える信用力は、金融機関の融資条件・顧客の取引判断にプラスに働く。
3つの成長エンジン
鉄スクラップ・リサイクル鉄の需要爆発
脱炭素目標のために電炉製鉄(スクラップを溶かして鉄を作る方法)が急拡大している。電炉製鉄は高炉に比べてCO2が大幅に少ない。阪和興業はスクラップ取引に注力しており、リサイクル鉄の需要拡大の直接的な恩恵を受ける立場。
EV・再エネインフラに鉄鋼が大量使用
EVバッテリーケース・モーターシャフト・充電インフラの支柱——電動化・脱炭素には鉄鋼が不可欠。「EV化で鉄が要らなくなる」は誤解。むしろEV・再エネインフラ建設で特定品種の鉄鋼需要は増加している。
アジア・北米での鉄鋼流通拡大
インド・ベトナム・タイなどアジア高成長国では製造業の発展に伴い鉄鋼需要が増加中。阪和興業の海外拠点(アジア・北米)を活かした輸出・現地流通で国内市場の縮小をカバーする戦略。
AIで変わること・変わらないこと
変わること
- AIによる鉄鋼市況予測・需要予測の精度向上——在庫管理が効率化
- 物流・倉庫管理のデジタル化・自動化で運営コスト削減
- 加工センターの自動化・ロボット化で生産性向上
- AIを使った顧客信用リスク分析・取引条件最適化
変わらないこと
- 大口顧客(自動車メーカー・造船所)との長期的な信頼関係は人が築く
- 市況変動時の対人交渉・価格折衝は人間の判断力が必要
- 新規市場(アジア現地)の開拓はリレーションシップが核心
- 鉄鋼の品質問題対応・クレーム対応は人が担う
「鉄鋼商社 = オワコン」という誤解への反論
鉄鋼商社が「終わっている業界」と思っている就活生は多い。しかし現実は真逆だ。脱炭素のために「リサイクル鉄」の需要が世界的に急増しており、鉄スクラップを集めて製鉄所に届ける専門商社の役割は増している。また、インド・東南アジアの製造業勃興に伴う鉄鋼需要は今後20年続く成長市場だ。「鉄 = 古い産業」というイメージをアップデートして志望することが、面接での差別化にもつながる。
ひよぺん対話
鉄鋼市況って変動が激しいって聞いたけど、会社がやばくなることある?
正直、鉄鋼市況の変動は業績に影響する。2015〜2016年に中国の鉄鋼過剰問題で世界の鉄鋼価格が暴落した時、阪和を含む鉄鋼商社の利益は落ちた。でも倒産レベルのリスクを抱えているわけではなく、多角化(食品・非鉄)とリスク管理(価格変動をヘッジする先物取引)で安定を保っている。三菱商事グループという後ろ盾もある。「鉄鋼市況に左右される部分がある」という現実を理解した上で選ぶのが正直なスタンス。
脱炭素で鉄鋼業界は縮小するの?
「鉄鋼 = 脱炭素に反する」という誤解がある。実際は①スクラップリサイクルによる電炉製鉄は脱炭素型で需要増。②EV・再エネインフラ建設には大量の鉄が必要——風力発電のタワー・EVの車体・インフラは鉄なしには作れない。縮小するのは「高炉で新品の鉄を作る」事業であり、流通商社の阪和興業は鉄鋼の需要変化に合わせて品種をシフトすることで対応できる。業界の変化についていける柔軟性が商社の強みだよ。