ANAの働く環境とキャリアパス
総合職約240名、客室乗務職約330名、パイロット職約45名。職種別採用のANAで、それぞれどんなキャリアが待っているかを解説します。
キャリアステップ
職種ごとの専門性を身につける
- 総合職:入社後約3カ月の研修→本社・空港・支店に配属。路線計画・マーケティング・人事・レベニューマネジメント等
- 客室乗務職:約3カ月のCA訓練→国内線乗務からスタート。安全手順・接客マナー・緊急対応を徹底的に叩き込まれる
- パイロット職:約2〜3年の養成訓練。米国での飛行訓練→日本での実機訓練→副操縦士昇格を目指す
- グランドスタッフ:空港でのチェックイン・搭乗案内業務。語学力を活かしたインバウンド対応が増加
視野を広げる——異動・昇格で専門性を深める
- 総合職は2〜3年おきのジョブローテーション。営業→国際事業→経営企画と異分野を横断
- CAは国際線に乗務開始。ビジネスクラス・ファーストクラスのサービスを担当。語学力が武器に
- パイロットは副操縦士として実運航。機種移行訓練(B787→B777等)を経て機長昇格を目指す
- 総合職は海外支店(ニューヨーク・ロンドン・シンガポール等)への赴任チャンスも
リーダーへ——チームを率いるフェーズ
- 総合職は課長級として部門を主導。路線戦略・アライアンス交渉・大型プロジェクトを担当
- CAはチーフパーサーとして機内全体のサービス品質を統括。後輩の育成・指導も
- パイロットは機長に昇格。フライト全体の安全責任者。年収は1,500〜2,000万円に
- CA→総合職への転換制度を利用して地上職に移る人も
経営層へ——航空事業の未来を設計
- 総合職は部長・執行役員のルートへ。ANAグループ全体の事業戦略に関与
- CAはインストラクター(教官)・客室部門の管理職として後進育成に注力
- パイロットは総合運航安全推進部・運航本部の管理職へ。訓練部門のリーダーも
- グループ会社(Peach・ANA Cargo・ANA Systems等)の役員への転出もある
研修・育成制度と福利厚生
CA訓練(客室乗務職)
約3カ月間の集中訓練。緊急脱出・救急救命・接客マナー・機内サービスを徹底的に学ぶ。毎年の定期訓練(リカレント)で資格を維持する必要がある。
パイロット養成(自社養成)
約2〜3年の訓練プログラム。米国での飛行訓練→日本での実機訓練→副操縦士昇格試験。国家資格(事業用操縦士・計器飛行証明等)を取得。費用は全額会社負担。
階層別研修(総合職)
年次・役職ごとの研修プログラム。リーダーシップ研修、MBA派遣、デジタル研修。グローバル人材育成のための海外研修制度も充実。
語学研修
英語は全職種で必須。TOEIC目標スコアの設定、英語研修プログラム、海外語学留学制度あり。CAは英語での機内アナウンス・保安説明が必須。
福利厚生
社員割引航空券(自社便に大幅割引で搭乗可能)。独身寮完備。ANAマイレージクラブのプレミアム会員資格。年間休日120日以上。
向いている人 / 向いていない人
向いている人
- 「空」に対する情熱がある人——飛行機が好き、旅行が好き、人を目的地に届ける仕事にやりがいを感じる
- グローバルに働きたい人——国際線の路線運営、海外支店勤務、外国人旅客への対応。日常的に英語を使う環境
- ホスピタリティ精神が高い人——CAもグランドスタッフも、お客様の安全と快適を最前線で守る仕事
- チームで働くことが好き人——1つのフライトの成功には、パイロット・CA・グランドスタッフ・整備士の連携が不可欠
向いていない人
- 不規則な勤務が苦手な人——CA・パイロットはシフト制で早朝・深夜勤務あり。時差ボケも日常。土日休みではない
- 高年収を最優先する人——総合職の平均年収は約620万円、CAは約450万円。商社やコンサルと比べると低い
- パンデミックリスクが怖い人——コロナ禍でANAは4,000億円の赤字。給与カット・出向もあった。「空の仕事は景気の波に弱い」
- 入社後に職種を変えたい人——職種別採用のため、CAから総合職への転換は制度上可能だが狭き門。入社前に決める覚悟が必要
ひよぺん対話
CAの年収って低いって聞くけど、本当?
1年目は約300〜350万円。大卒総合職(1年目約350〜400万円)より低い。ただしフライト手当(乗務時間に応じた手当)やステイ先の日当が加わるから、実際の手取りは基本給以上。5年目で450〜500万円、チーフパーサーで600〜700万円。パイロットは機長で2,000万円超。職種による年収差は航空業界の特徴で、「年収だけでCAを評価するのは間違い」。CAにしかできない経験(世界中を飛び回る、多様な旅客と接する、安全を守る)に価値を見出せるかがポイント。
ANAの社員って飛行機タダで乗れるの?
「タダ」ではないけど大幅割引。ANA社員は自社便に社員割引運賃で搭乗できる。国内線なら数千円、国際線でもかなり安い。ただし空席がある場合のみ(確約ではない)。繁忙期は取れないことも多い。家族にも割引が適用される。これは航空会社の大きな福利厚生で、「旅行好きにとっては最高の特典」。年に何度も海外旅行に行く社員も多いよ。
コロナ禍で出向させられたって聞いたけど、もうそんなことはない?
コロナ禍ではANAの社員が家電量販店やコールセンター、自治体に出向した。給与カットもあった。航空業界は景気の波に非常に弱い——パンデミック・テロ・戦争で一気に需要が蒸発する。今は回復して過去最高の売上を記録しているけど、「次の危機でも同じことが起きる可能性」はゼロではない。だからこそANAは非航空事業の拡大(マイレージ・整備受託・貨物)を進めている。面接では「航空業界のリスクをどう考えるか」を正直に語れるとむしろ好印象。リスクを理解した上で「それでも空の仕事がしたい」と言えることが大事。