ロームの成長戦略と将来性
SiC大型投資と赤字転落。構造改革後のロームはどこへ向かうのか。リスクと希望を正直に検証。
安定性の根拠
SiCパワー半導体の技術力は世界トップクラス
赤字は「投資のタイミング」の問題で「技術力の低下」ではない。SiCの製品競争力自体は健在。
LSI・ディスクリートの安定基盤
車載向けアナログIC・ディスクリートは景気に左右されにくい安定事業。全社の売上の65%を支える。
構造改革で筋肉質に
社長交代・人員削減・投資計画見直し。「攻め」から「効率」への転換で収益性回復を目指す。
成長エンジン
SiCパワー半導体の回復
EV市場の本格拡大(2027年〜)に合わせ、SiCの需要が回復する見通し。宮崎新工場のフル稼働が鍵。
車載アナログICの拡大
ADAS・EV電装化で車載IC需要は年率10%以上の成長。ロームの安定事業。
構造改革による収益性改善
不採算事業の整理と固定費削減で損益分岐点を引き下げ。同じ売上でも利益が出る体質に変わる。
AI・デジタルで変わること / 変わらないこと
変わること
- 回路設計のAI支援:アナログIC設計の一部がAIで効率化
- プロセス制御:SiC製造のAI最適化で歩留まり向上
- 品質予測:車載品質のAI予測で不良率低減
変わらないこと
- アナログ回路設計の経験知:「匠の技」的な設計ノウハウ
- SiC製造の物理的プロセス:結晶成長・エピタキシーの物理
- 顧客(自動車メーカー)との品質保証:車載認定は人間の信頼関係
ひよぺん対話
SiCって本当に将来性あるの?EVが思ったほど売れてないって聞くけど…
短期的にはEV市場の成長鈍化は事実。ただし(1)中国ではEV販売が引き続き好調、(2)欧州は2035年にICE(内燃機関)販売禁止、(3)トヨタもEVシフトを加速。「EVが来ない」のではなく「来るタイミングが遅れた」のが正確。SiCの需要は2027年以降に本格化する見通しで、そこまでロームが持ちこたえられるかが勝負。
赤字から回復できる?
構造改革で損益分岐点を下げるのが先決。不採算ラインの統廃合、外注比率の見直し、人件費の適正化が進めば2026〜2027年に黒字化する可能性は十分ある。ただし「V字回復」ではなく「緩やかな回復」になるだろう。楽観的すぎず、悲観的すぎず——現実的に見て「時間はかかるが回復する」と考えるのが妥当だよ。