🚀 成長戦略と将来性

「安物メーカー」のイメージは過去のもの。AIoT・食品・海外展開——アイリスオーヤマの次の30年を読み解く。

なぜ潰れにくいのか — 安定性の根拠

40年以上の黒字経営 — 不況時こそ「安くて便利」の需要が増す

1971年創業以来、40年以上継続して黒字を維持。不況時に消費者が「安くて必要十分」の商品に流れるのは必然で、アイリスオーヤマの「コストパフォーマンス重視」戦略が不況耐性になっている。コロナ禍(2020年)もパックご飯・収納・ペット用品が需要急増し、売上を大幅に伸ばした。

オーナー企業の強み — 長期視点で大胆な投資ができる

大山家が100%オーナーの非上場企業だから、四半期ごとの株主プレッシャーなしに5〜10年の長期投資を決断できる。食品工場(レトルト・パックご飯)・新商品開発ラボ・AI研究投資等、「今すぐ利益が出なくても将来に必要な投資」を積み重ねられる経営体制が強み。

垂直統合で景気変動に強い — コストコントロールが速い

企画・製造・物流・販売を一貫管理する垂直統合モデルは、原材料費や物流費が上がっても自社でコスト調整できる。外部委託(OEM)中心のメーカーより景気変動への適応力が高い。コロナ禍での物流混乱時も自社物流網で迅速対応。

生活必需品が中心 — 景気後退でも需要が消えない

収納ボックス・LED電球・ペットシーツ・パックご飯は景気に関係なく一定の需要がある生活必需品。ぜいたく品ではないから、消費者が節約モードになっても切り捨てにくいカテゴリーを主力にしている。

成長エンジン — 何で伸びようとしているか

AIoT家電でスマートホームを狙う

スマートフォン・AIスピーカー連携のAIoT家電(AI+IoT)を積極展開。2022年からLG Electronicsと家電のAIoT連携で協業、パナソニックのスマートホーム基盤とも接続を検討。単品で「安くて便利」な家電を超え、「家全体のスマートホーム化」の一角を担うポジションを狙っている。

食品事業の拡大 — パックご飯から冷凍食品まで

コロナ禍の備蓄需要で急成長したパックご飯(低温製法)は、今や主要スーパー全チェーンに展開。レトルト食品・冷凍食品への品目拡大を進め、「アイリスの食品」としてのブランドを確立しつつある。食品は家電・生活用品とは全く異なる品質基準・流通が必要で、参入障壁が実は高い。先行投資が効いてくる時期。

海外展開 — 中国・韓国から東南アジアへ

中国・韓国に自社工場を持ち現地販売もしているが、まだ国内売上が中心。東南アジア(タイ・ベトナム等)の成長する中間層に「コスパ良い生活用品」を提供する海外展開を模索中。日本で培った「ユーザーイン×垂直統合」モデルが海外でも通用するか検証段階。

ペット用品の深化 — 市場拡大と「ライフタイム戦略」

日本のペット市場は少子高齢化の中でも拡大中(2025年に約1.8兆円規模)。アイリスオーヤマはペットの一生に必要な全製品をワンストップで提供する「ライフタイム戦略」を推進。ペットフード・医療用品・おもちゃ・トリミング用品まで品揃えを拡充。ペットシーツは国内シェアトップクラスを維持。

アイリスオーヤマの中期戦略

3つの成長軸

① コア事業の強化: 生活用品・家電のユーザーイン開発継続

年1,000品目超の新製品投入ペースを維持しながら、AIoT機能の搭載率を高める。「安くてスマート」というポジションで、大手家電メーカーのプレミアム品と低価格の量販品の間の「ちょうどいい市場」を拡大。

② 食品・ペット事業の収益基盤化

パックご飯・レトルト・ペットフードを家電・生活用品と並ぶ柱に育てる。「アイリスに来れば生活に必要な全部が揃う」というワンストップブランド化が目標。

③ 海外展開の本格化

中国・韓国の自社工場を基盤に、東南アジアの成長する中間層に向けた販売展開を加速。日本で磨いたユーザーイン開発手法がアジア市場でも通用するかが試金石。

AI・テクノロジーでどう変わるか

AIで変わること

  • 新商品企画へのAI活用: SNS・口コミ・検索データのAI分析でユーザーの「困りごと」を自動抽出。企画会議のインプット精度が向上
  • 中国・韓国工場でのAI品質管理: AI画像検査による不良品検出の自動化。人的品質チェックの工数削減
  • 物流最適化: AI需要予測で在庫を最適化し、年間1,000品目を扱う複雑な物流を効率化
  • AIoT家電のAI機能強化: ユーザーの使用パターンを学習して自動制御する家電の品質・精度向上

人間にしかできないこと

  • 「ユーザーインの感性」: 生活の中に潜む「小さな不便」を見つける感覚はAIが代替しにくい。生活体験の深さが商品力の源泉
  • 量販店・ホームセンターとの関係構築: 棚割り交渉・売り場提案は信頼関係がベース。顔が見えない取引ではできない
  • 新商品企画会議でのプレゼン: 社長が直接採否を決める現場では、論理+情熱の人間的説得力が問われる
  • 食品の品質・安全管理: 食の安全基準は人による監視と判断が依然として不可欠。AIが全て代替できない領域

ひよぺん対話

ひよこ

アイリスオーヤマって将来も大丈夫?なんか「安物メーカー」のイメージで...

ペンギン

「安物メーカー」のイメージは半分正解、半分誤解。

正解の部分: コストパフォーマンス戦略で成長してきたのは事実。高価格帯での認知は弱い。

誤解の部分: 40年黒字・売上7,000億円超・AIoT家電まで拡張している。単なる安物メーカーじゃない。むしろ「不況でも強い消費財メーカー」として堅固な基盤がある。

将来性のポイントはAIoT家電でスマートホーム市場に参入できるか。LG・パナソニックと連携しながら「安くてスマートな家電」の需要を取れれば、次の成長ステージに乗れる。

ひよこ

AIが進化したら商品企画の仕事はなくなるの?

ペンギン

なくならない。理由は明確で、アイリスオーヤマの強みである「ユーザーインの感性」はAIと人間のハイブリッドで強くなるから。

AIが変えること: 「どんな不便が多いか」の調査・分析は自動化が進む。100万件のSNS口コミから「収納の悩み」を抽出するAIツールはすでにある。

人間にしかできないこと: 「そのデータを商品アイデアに変換するプロセス」。「データが示す困りごと」と「商品の形」を結びつける発想力はまだ人間が強い。週1回の企画会議で「これは売れる」と確信を持ってプレゼンする力はAIにはない。

むしろAIを使いこなした商品企画担当が「最強の企画人材」になれる時代が来てる。

ひよこ

30年後もアイリスオーヤマは存在する?

ペンギン

事業ポートフォリオから考えると存在し続ける可能性は高い

・収納・生活用品: ニーズは変わらない。家に物を収納する文化は続く
・ペット用品: 少子高齢化でペット需要は構造的に増加傾向
・食品(パックご飯): 核家族化・一人暮らし増加で需要安定

リスクは後継者問題。現在は大山晃弘社長(2代目)が率いるオーナー企業。将来の経営承継をどう設計するかは外から見えにくい。

でも基本的に「生活者の日常に必要なものを作り続ける」企業は長生きしやすい。40年以上の黒字実績がある。「30年後も大丈夫か」という問いに、現時点では「Yes」と言えるよ。

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