学研HDの成長戦略と将来性

少子化でも過去最高売上を更新——教育×医療福祉のグループ戦略が持つ本当の強みを見る。

安定している理由

80年ブランドの信頼——「学研」は日本人の記憶に刻まれている

1946年創業。「学研の図鑑」「学研教室」は3世代にわたって親しまれてきた。新興のEdTech企業が参入しにくい「信頼の蓄積」が最大の堀。学校・保護者・自治体が「知らない会社」には教育を任せない。

少子化リスクを医療福祉で相殺——2つの社会課題に同時対応

少子化で子どもの数が減るが、高齢化で介護・医療の需要は急増。学研は両方の市場を持つため、どちらかの市場が縮んでも補える。この「リスクヘッジ構造」は簡単に模倣できない。

17,800教室のネットワーク——全国に根を張ったリアルな資産

オンライン教育が普及しても、「近くに教室がある」という利便性は消えない。特に小学生の低学年層は親の送迎ニーズが高く、地域密着の対面指導の価値は残り続ける。

成長エンジン

医療福祉事業の施設拡大——高齢化社会の最大受益者

2025〜2030年にかけて日本の高齢者人口は増加し続ける。学研の介護施設「ベストライフ」を中心に施設数・床数を拡大し、需要増に対応。稼働率が高まれば収益性も上がる。

GIGAスクール×デジタル教材——EdTech市場の取り込み

全国の小中学校への1人1台端末配備で、デジタル教材の需要が拡大中。学研はコンテンツ制作ノウハウ×教育現場の信頼を武器にデジタル教材市場で存在感を高めている。

海外教育事業の拡大——東南アジアの教育需要

ベトナム(DTP社子会社化)を皮切りに、経済成長著しい東南アジアでの教育サービス展開を加速。現地の中間層拡大と教育熱の高まりが追い風。

AI・デジタル化で変わること / 変わらないこと

変わること

  • 紙ドリル・参考書の需要縮小——AIが生成する個別最適化問題集が普及すれば、汎用的な紙ドリルの価値は下がる
  • 画一的な授業動画の価値低下——「先生が解説する動画」はAIで代替できる。学研の出版コンテンツにも影響
  • 採点・添削の自動化——学習塾の採点業務はAIが代替できる。教室スタッフの役割変化が必要

変わらないこと

  • 対面でのコミュニケーション価値——「先生に褒めてもらう」「友達と一緒に勉強する」体験はAIでは代替できない。学研教室の本質的な価値
  • 介護・医療の現場ケア——医療福祉事業の中核は人による直接ケア。AIが支援ツールになっても、人手は不可欠
  • 教育コンテンツの企画・監修——「何を学ぶべきか」「どう面白く伝えるか」の企画力は人間の仕事として残る
  • 地域コミュニティとしての教室——教室は学習の場だけでなく、地域の子育て支援の場でもある

学研の中長期戦略

グループ中期経営計画の方向性

①医療福祉事業の継続拡大

有料老人ホーム・在宅介護・保育の施設数を拡大。高稼働率の維持が収益性の鍵。2030年に向けて売上構成比をさらに引き上げる計画。

②デジタル教育への全力投資

紙コンテンツのデジタル化にとどまらず、AIを活用した個別最適学習の開発へ。GIGAスクール需要の継続取り込みと、新たなEdTech市場での競争力強化。

③海外教育事業の収益化

ベトナム(DTP社)を足がかりに東南アジアの教育市場でのプレゼンス拡大。日本の教育コンテンツの品質を武器に現地展開を加速。

ひよぺん対話

ひよこ

AIで参考書や塾って不要になるんじゃないの?

ペンギン

確かに「AIが勉強を全部教えてくれる」時代は来るかもしれない。でも学研が危機に陥るかというと、そこは少し違う視点が必要。

紙ドリル・参考書は確かに縮む。でも学研はすでにデジタル教材にシフト中
学研教室の「場」の価値は、子どもが集まって先生に見てもらうこと。それはAI塾アプリとは別の市場
医療福祉事業は影響を受けにくい——高齢者ケアにAIが入っても、人の手は必要

むしろ学研が意識すべきは、「AIを使ったデジタル教材で先行できるか」というチャンス側の話。コンテンツ制作力は学研の強みだから、AIを武器にする立場になれるかどうかが分かれ目だと思う。

ひよこ

30年後も学研って会社あると思う?

ペンギン

個人的な見方で言うと——「学研」というブランドは残ると思う。理由は3つ。

①日本人の記憶に深く刻まれたブランド
「学研の図鑑」「学研教室」は親世代から子世代へ受け継がれる。これは短期間では消えない資産。

②少子化・高齢化という日本の構造問題に両対応している
教育が縮んでも医療福祉が伸び、どちらも「人口動態に連動したビジネス」。30年間で日本が消えない限り、需要は続く。

③ただし、変化への対応が条件
デジタル化に乗り遅れたら出版・教材ビジネスは厳しい。今の経営陣がどれだけ変革を進められるかがカギ。

「安心・安全な大手教育企業」を求めるならベネッセより規模は小さいが学研も安定した選択肢。30年後も存続している可能性は高い。

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