富士通の成長戦略と将来性
「SIerはオワコン?」「AIで仕事なくなる?」——就活生が本気で気にしている疑問に、数字と事実で正面から答える。
安定性の根拠 — なぜ富士通は潰れにくいのか
官公庁・金融のミッションクリティカル案件
行政DX、銀行勘定系など「止められないシステム」を多数抱える。これらのシステムは5〜10年単位でリプレースされるため、景気に左右されにくい安定収益源。一度構築すると保守運用で長期契約になるストック型ビジネス。
12万人の人的ネットワーク
連結12万人、国内だけでも数万人の技術者を抱える。大規模プロジェクトを受注できる「人の厚み」は簡単に真似できない参入障壁。特に官公庁案件はセキュリティ要件が厳しく、実績のある大手SIerしか入れない。
自社製造の技術的アセット
サーバー(PRIMERGY/PRIMEQUEST)、スーパーコンピューター「富岳」、量子コンピューティング研究など、他のSIerが持たないハードウェア技術を保有。コモディティ化が進むSI市場で、技術による差別化が可能。
成長エンジン
Fujitsu Uvance
最大の成長エンジン。2022年度200億円→2024年度4,828億円(24倍)で急拡大。2025年度目標は7,000億円(前年比45%増)。従来のSI受託型から脱却し、自社IPを持つサービスプロバイダーへ。利益率もSI平均を上回る。
モダナイゼーション
レガシーシステム(古い基幹システム)の刷新需要。日本企業の8割が「2025年の崖」(経産省DXレポート)に直面しており、数十年前に構築されたシステムの更新需要は今後10年以上続く。2024年度売上2,010億円(前年比70%増)。
AI・データ活用
生成AI(LLM)の企業導入支援が急成長。富士通は自社AIプラットフォーム「Kozuchi」や、NTT研究所のLLM「tsuzumi」等を活用し、日本語に強いAIソリューションを展開。AIインテグレーターとしてのポジション確立を狙う。
量子コンピューティング
理研と共同で量子コンピューターを開発中。2030年代の実用化を見据え、量子×古典コンピューティングのハイブリッドプラットフォームを研究。まだ収益化は先だが、10年後のゲームチェンジャーになりうる領域。
中期経営計画(2023〜2025年度)
2025年度の経営目標
- 売上収益: 4兆2,000億円(FY2024実績: 3.55兆円)
- 調整後営業利益: 5,000億円(利益率12%)
- サービスソリューション営業利益率: 15.5%
- Uvance売上: 7,000億円(サービスSol.の30%)
2025年度上期時点で調整後営業利益は過去最高を更新しており、通期予想を上方修正済み(調整後営業利益3,800億円、+24%)。利益面では中計達成に向けて順調。
AIの影響 — 変わること・変わらないこと
AIで変わる仕事
- 定型的なプログラミング——AIによるコード生成で効率化。「コードを書く」だけの仕事は減る
- テスト・品質管理——AIテスト自動化で省力化が進む
- ドキュメント作成——設計書・仕様書の自動生成が実用段階に
- データ入力・集計業務——RPA+AIで自動化が加速
AIでも変わらない仕事
- 顧客の課題を理解して解決策を設計する上流工程——AIは「問いを立てる」ことができない
- ステークホルダー間の調整・合意形成——人間関係と政治はAIに代替できない
- ミッションクリティカルシステムの品質保証——「止められないシステム」の最終判断は人間
- 新しいビジネスモデルの企画——Uvance的な「課題を定義する」仕事はAIを使う側の仕事
- AIの導入・活用支援そのもの——企業のAI活用を支援する「AIインテグレーター」の需要は急増
ひよぺん対話
富士通って30年後も大丈夫?SIerは「オワコン」って言う人もいるけど...
「SIerがオワコン」説は半分正しくて半分間違い。
正しい部分: 「お客さんに言われたものを作るだけ」の単純な受託SIは確かに縮小する。AIやローコードツールで簡単なシステム開発は自動化されていくから。
間違いの部分: 企業のDX需要、レガシーシステムの刷新、AI活用支援——こういう「複雑で高度なIT課題」は増え続ける。しかもこれらは大規模で、スタートアップやフリーランスには対応できない。
富士通はまさにこの「高度な領域」にシフトしようとしてUvanceを作った。単なるSIerとして残るつもりはない、という経営判断は正しいと思うよ。30年後の姿は今のSIerとは全く違うだろうけど、なくなることはない。
Uvanceって本当にうまくいくの?絵に描いた餅じゃない?
数字を見ると「絵に描いた餅」ではなさそうだよ。
・2022年度: 200億円(スタート)
・2023年度: 3,687億円
・2024年度: 4,828億円(+31%)
・2025年度目標: 7,000億円(+45%)
2年で24倍という急拡大は実際の数字。ただし注意点もある——Uvanceの売上には従来のSI案件をUvanceブランドにラベル替えした部分も含まれるという指摘がアナリストからある。純粋に「新しいビジネスモデル」がどこまで伸びているかは、もう少し精査が必要だね。
とはいえ、経営がUvanceにコミットしていること自体は評価できる。方向性は正しい。
AIで仕事なくなるんじゃない?SIerの人が一番影響受けそう...
影響は確実に受ける。でも「なくなる」のではなく「変わる」が正確。
コードを書くだけの仕事は減るけど、「AIを使って何を解決するか」を考える仕事は増える。富士通は実際に開発プロセスへの生成AI適用を進めていて、テスト自動化やコード生成で開発効率を30%改善する取り組みをしてるよ。
就活生として大事なのは、「AIに仕事を奪われる側」ではなく「AIを活用する側」に立てるスキルを意識すること。富士通でいえば、Uvance系の企画・コンサル職や、AIインテグレーター職は需要が増える一方だよ。
ジョブ型にして会社は良くなるの?社員は幸せになるの?
正直に言うと、人による。
ジョブ型で得する人: 専門性が高い人、自分で手を挙げて挑戦できる人、年功序列に不満だった人。実力がダイレクトに報酬に反映されるからモチベーションが上がる。
ジョブ型で不安な人: 「普通にがんばってきた」中間層。明確な専門性がないと評価が上がりにくい。ポスティングで人気ポジションに殺到する競争も生まれている。
会社全体としては、離職率1.97%と低いまま維持されているので、大量離職のような混乱は起きていない。ただ、社員口コミでは「評価基準が分かりにくい」「上司との1on1が形骸化している部署もある」という声もある。
就活生には「年功序列とジョブ型、どっちの世界観が自分に合うか」を真剣に考えてほしい。それが企業選びの一番大事な軸になるよ。