3分でわかる朝日新聞社
145年の歴史を持つ日本の全国紙。
だが「本業」の新聞事業は赤字——不動産とデジタルで生き残りを賭ける
全国紙の発行部数は20年で半減。新聞業界は構造的な転換期にある
事業構成——新聞だけじゃない朝日新聞社
朝日新聞社の利益構造は「メディア事業の赤字を不動産事業の黒字で補填」する形。連結売上高2,781億円のうち、メディア事業が中心だが、利益の大部分は不動産事業が生み出している。
3つのキーワードで理解する
日本を代表する全国紙——だが「本業」は赤字
朝日新聞は1879年創刊の145年以上の歴史を持つ日本の全国紙。リベラル系の論調で知られ、調査報道やスクープに定評がある。しかし発行部数はピーク時の約800万部から321万部に60%減少。広告収入も激減し、メディア・コンテンツ事業は28億円の赤字(2025年3月期)。新聞を作る「本業」だけでは食べていけない——これが今の朝日新聞の現実。
不動産が支える新聞社——築地・中之島の一等地
朝日新聞社の不動産事業は約85億円の利益(2025年3月期)を稼ぎ出し、メディア事業の赤字を穴埋めしている。築地本社跡地、大阪・中之島のフェスティバルタワーなど、全国主要都市の一等地に不動産を保有する「隠れた不動産会社」。インバウンド需要でホテル事業も好調。新聞社というより「不動産も持っているメディア企業」と理解する方が実態に近い。
デジタル転換の挑戦——NYタイムズになれるか?
朝日新聞デジタルの有料会員は約30万人。NYタイムズの1,000万人超、日経電子版の106万人と比べると大きく出遅れている。2022年に全記事有料化に舵を切ったが、無料ニュースが溢れるネット上で「お金を払ってでも読みたい記事」を作れるかが勝負。年間400万部ペースで減少する紙の部数を、デジタル会員でどこまで補えるかが朝日新聞の存亡を左右する。
身近な朝日新聞——あなたの日常に溶け込む存在
全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)の主催者が朝日新聞社。日本の夏の風物詩であり、朝日新聞の最大のブランド資産の一つ。
「フェルメール展」「印象派展」など全国の大型展覧会の多くを朝日新聞社が主催・共催。新聞社は文化事業のプロデューサーでもある。
スマホで読めるニュースアプリ。Yahoo!ニュースやLINEニュースの元記事の多くが新聞社発。あなたが読むネットニュースの「原材料」を作っている。
大阪のランドマークビル「フェスティバルタワー」は朝日新聞社のビル。オフィス・ホール・レストランを備え、不動産事業の象徴。
ひよぺん対話
朝日新聞って「左寄り」とか言われるけど、就活で不利にならない?
朝日新聞がリベラル寄りの論調なのは事実だけど、就活で不利になることはない。むしろ「なぜ朝日か」を聞かれたときに「権力を監視するジャーナリズムの伝統に惹かれた」「調査報道の力を学びたい」と語れれば、それが志望動機になる。新聞社は右も左も含めて「言論の多様性」を担う存在。大事なのは「自分がなぜジャーナリズムをやりたいか」を語れること。政治的立場より、報道に対する情熱の方が評価されるよ。
新聞社って記者以外の仕事もあるの?
記者は全体の半分以下だよ。朝日新聞の採用は記者部門・ビジネス部門・技術部門の3つに分かれている。ビジネス部門は広告営業、イベント企画、販売戦略、デジタル事業開発など多岐にわたる。技術部門はシステム開発や朝日新聞デジタルのサービス開発を担当。「文章を書くのが好き」じゃなくても新聞社で活躍できる。特に今はデジタル人材やビジネス人材の需要が高まっているよ。
不動産で食べてる新聞社って、ぶっちゃけ大丈夫なの?
正直に言うと「不動産があるから潰れない」が現状。メディア事業は赤字、でも不動産で85億円稼いでいるから会社全体では黒字。これは短期的には安定だけど、長期的にはリスク。不動産は景気変動に左右されるし、「新聞社としてのジャーナリズムの質が下がれば、ブランド価値も不動産価値も下がる」という連鎖もありうる。デジタル課金で自立できるかどうかが本当の勝負。NYタイムズは同じ状況からデジタル転換に成功した。朝日がそれをできるかは、まさにこれからの世代にかかっているよ。
年収1,100万円って本当?新聞記者ってそんなに稼げるの?
有価証券報告書ベースで平均年収1,113万円(2024年3月期)は本当。ただしこれは全従業員の平均で、40代以上のベテランが引き上げている。若手の実態は1年目で400〜500万円、30歳前後で600〜800万円程度。それでも日本企業の中では高水準。ただし新聞業界は構造的な縮小期にあり、この年収水準がいつまで維持できるかは不透明。2020年には約500人の希望退職を実施しており、「高年収=安泰」ではないことは理解しておくべきだね。