ゴールドマン・サックス証券の仕事内容を知る

GSの仕事は「IBD(M&A・引受)」「S&T(トレーディング)」「AWM(資産運用)」「ミドル・バック」に大別される。入社時の部門と職種で仕事の性質が大きく異なる。

🏛️ 投資銀行部門(IBD) M&A・IPO・資本市場
アドバイザリーの頂点
📈 グローバル・マーケッツ(S&T) セールス&トレーディング
FICC・ECS
💼 AWM(資産運用) 超富裕層・機関投資家
PE・ヘッジファンド
⚙️ ミドル・バック リスク・コンプライアンス
テクノロジー

入社時の職種タイプ

GSは部門別採用で、入社時から「IBD」「S&T」「AWM」「ミドル・バック」のいずれかに配属される。職種によって仕事の性質・年収・激務度がまったく異なる。

🏛️

アナリスト(IBD)

M&AモデリングとPitchBook(提案資料)作成が中心。財務モデルの構築、バリュエーション、DD(デューデリジェンス)のサポート。

稼働時間: 週80〜100時間超(案件繁忙時)
年収(1年目): 800〜1,000万円
向いている人: 数字・論理思考・忍耐力が強い
📈

アナリスト(S&T)

市場のリアルタイム動向を分析しながら、機関投資家への商品提案(セールス)または自己勘定での売買(トレーディング)を実行。

稼働時間: 週70〜85時間(IBDより規則的)
年収(1年目): 800〜1,000万円
向いている人: 瞬時の判断力・数学的思考力
⚙️

アナリスト(ミドル・バック)

リスク管理、コンプライアンス、テクノロジー部門。フロントほど激務ではないが、金融規制の高度な専門知識が必要。

稼働時間: 週50〜65時間(比較的安定)
年収(1年目): 600〜700万円
向いている人: リスク管理・IT・法律系スキル

具体的なプロジェクト事例

GSが手がける代表的な業務。「株を売るだけ」ではない投資銀行の仕事の幅と深さを理解しよう。

IBD 数兆円規模

クロスボーダーM&Aアドバイザリー

日本企業が海外企業を買収する(または海外企業が日本企業を買収する)案件で、GSがアドバイザーとして関与。バリュエーション(企業価値算定)、シナジー分析、デューデリジェンス、交渉支援、条件交渉、クロージングまでを担当。GSの最も「格」のある仕事の一つ

👤 若手の関わり方 アナリスト(1〜3年目)は財務モデルの構築・更新、PitchBook資料の作成、データ収集・分析が中心。深夜〜早朝まで作業が続くこともある。
IBD 引受案件多数

IPO主幹事・エクイティ引受(ECM)

大型IPOの主幹事として、上場準備・株価形成・機関投資家へのロードショー(投資家向け説明会)を担当。GSがIPOの主幹事になるのは日本では限られた超大型案件。「GSがつく=信頼性が高い」という市場メッセージにもなる。

👤 若手の関わり方 ECMチームのアナリストはオファリング(株の販売)プロセス全体のサポート。ロードショー資料の作成、需要積み上げの集計、機関投資家へのフォローアップ。
S&T 日次数百億〜数千億

フィクストインカム・トレーディング(債券・金利・為替)

国債・社債・デリバティブ・為替のトレーディング。顧客(機関投資家)から注文を受け、GSが一時的にリスクを取って取引を成立させる「マーケットメイク」が中心業務。金利の1bps(0.01%)の動きで数億円が動く世界で、リアルタイムのリスク管理が求められる。

👤 若手の関わり方 FICCデスクのアナリストはシニアトレーダーのサポート、ポジション管理のサポート、顧客への相場情報提供から始まる。理系・数学的バックグラウンドが活きる。
AWM 運用残高約300兆円

プライベートエクイティ・オルタナティブ投資

GSが自己資本または顧客の資金を使い、未上場企業や不動産、インフラへの投資を行うPE(プライベートエクイティ)業務。「市場に出回らない非公開案件」への投資は利益率が高く、GSの収益の柱の一つ。投資先の企業価値を高めてExit(売却・上場)で利益を得る。

👤 若手の関わり方 AWMのアナリストは投資候補企業のDD(財務・事業分析)、LBOモデル構築、投資委員会向け資料作成。IBDに近い業務量と知的強度。

4つの事業部門

GSの収益はS&Tが最大(約40〜45%)だが、IBDのブランド力・知名度が最も高い。就活ではどの部門を志望するかを明確にして選考に臨むことが必須。

🏛️

投資銀行部門(IBD)

大企業 / PEファンド / 国有企業 / 政府機関

M&Aアドバイザリー、ECM(株式引受)、DCM(債券引受)。グローバルM&Aリーグテーブルで常にトップ争い。クロスボーダー案件(日本企業×海外企業)に特に強く、日本法人のIBDは欧米の本社チームと連携して大型案件を動かす。

特徴: 激務・高報酬・最高のブランド。退職後のキャリア(PE・VC)でも最高の看板になる。

収益構成比(グローバル概算)
約25〜30% 花形部門
📈

グローバル・マーケッツ(S&T)

ヘッジファンド / 年金・保険 / 中央銀行 / 機関投資家

ECS(株式セールス&トレーディング)とFICC(債券・通貨・コモディティ)の2本柱。世界最大規模のマーケットメイカーとして市場流動性を支える。市場が荒れる時ほど収益チャンスがある逆張り的なビジネス。

特徴: IBDより規則的だが、マーケット時間は常にモニタリング。数字・確率・判断力が問われる。

収益構成比(グローバル概算)
約40〜45% 最大収益源
💼

アセット&ウェルス・マネジメント(AWM)

超富裕層(UHNW) / 年金基金 / SWF(政府系ファンド)

グローバル運用残高約300兆円。PE・不動産・インフラ・ヘッジファンドなどのオルタナティブ投資に特化した高付加価値事業。超富裕層(純資産100億円以上)への専用サービス「GSプライベートウェルスマネジメント」も提供。

特徴: IBDほど激務ではないが、投資の判断軸は同等に高度。長期的なクライアント関係構築が重要。

収益構成比(グローバル概算)
約25〜30%
⚙️

ミドル・バックオフィス

内部(フロント部門をサポート)

リスク管理(市場・信用・流動性リスク)、コンプライアンス・法務、テクノロジー(トレーディングシステム・AIインフラ)、ファイナンス・会計の部門。フロントを支える縁の下の力持ち。年収はフロントより低いが、ワークライフバランスは改善される。

特徴: 専門スキル(IT・法律・リスク数学)があれば高いキャリアを積める。特にエンジニアの需要は急拡大中。

採用比率(概算)
全採用の約40%

※収益構成はGSグループのグローバル概算。日本法人単体の構成比は非公開。

ひよぺん対話

ひよこ

アナリストって1日どんな生活をしてるの? 「週100時間働く」って意味がわからない...

ペンギン

IBDアナリストの典型的な1日(案件繁忙時)を見てみよう:

🌅08:00:出社。朝のマーケット確認と昨日のコメントへの対応
📊09:00〜13:00:財務モデルの更新、バリュエーション計算、PitchBook資料の修正
🏛️14:00〜17:00:シニアのMD(マネージング・ディレクター)との案件ミーティング、クライアントコールの準備
💻18:00〜22:00:修正指示が来た資料の作り直し、新しい分析の追加
📝22:00〜深夜2時:「明日の朝イチで欲しい」という指示に対応

「週100時間」は誇張ではなく、案件クロージング直前の数週間はこのサイクルが続く

ただし:
すべての週がこの強度ではない。案件がない静かな週もある
・GSは2021年頃から「アナリストに最低限の週末休暇を」という改革を実施
・S&TはIBDより規則的。マーケットが閉まればある程度終わる
・ミドル・バックは9〜19時程度が一般的

「激務が嫌だからGSはやめる」は合理的判断。「この激務に耐えてでも得たいものがある」という強い動機がないと続かない職場だよ。

ひよこ

文系でもトレーダーになれるの? 数学が得意じゃないと無理?

ペンギン

正直に言うと:「文系でもなれるが、数学が得意な文系でないと難しい」が実態。

📊S&Tの部署別・数学難易度

🔴量的トレーディング(クオンツ):数学・統計・プログラミング必須。東大理学部・工学部レベルが普通。文系はほぼ入れない。

🟡フィクストインカム(FICC)トレーディング:金利・債券の計算に数学が必要だが、「理解できるレベル」でいい。優秀な文系経済学部生は十分に戦える。

🟢エクイティ・セールス:クライアント(機関投資家)との関係構築が中心。コミュニケーション力と市場への関心が重要。数学力よりも洞察力・説得力。文系の活躍ポジション。

🟢エクイティ・リサーチ:企業分析・業界分析をレポートにまとめる仕事。文系でも経済・経営の知識と論理的文章力があれば活躍できる。

結論:「数学が苦手な文系」はS&Tでは厳しい。でも「数量的思考はできるが数学専攻ではない文系」なら、エクイティセールスやIBDは十分狙える

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