ダイハツ工業の仕事内容
軽自動車の「企画から工場まで」——日本独自の規格に挑むものづくりと、信頼を取り戻す再建の現場。
プロジェクト事例で見る仕事のリアル
新型軽自動車の開発(新型ムーヴ等)
日本の軽自動車規格(排気量660cc以下・全長3.4m以下)に最適化した新型車の企画から量産設計までの一連の開発。パッケージング(限られたサイズに最大の居住空間を実現)、燃費最適化、安全性能の向上が主な課題。2023年の不正問題後、適正な認証プロセスを経た正しい開発の仕組みを再構築しながら新型車を投入中。
認証不正再発防止プロセスの構築
不正問題の根本原因は「日程優先で安全基準の確認を省略した」文化にあった。現在は国土交通省への報告義務を伴う再発防止プロセスの構築・運用が最重要課題。認証申請の手順書整備、ダブルチェック体制の導入、試験データの改ざんを防ぐシステム構築など、「正直なものづくり」の基盤を作り直す仕事。
工場ラインの効率化・自動化推進
大阪・滋賀・京都に複数の工場を持ち、軽自動車を大量生産。ロボット溶接・自動塗装・組立ラインの自動化を推進しながら、品質と生産効率を両立させる仕事。工場停止(2023年末〜2024年5月)からの生産復旧にも携わった。「作れる工場を守る」という意識が現場全体に浸透している。
ディーラー支援と販売台数回復
不正問題による生産停止で、全国のダイハツディーラーは5ヶ月間ほぼ販売ゼロという危機的状況を経験した。現在は販売再開・シェア回復フェーズ。営業スタッフはディーラーと協力して顧客への説明・信頼回復・新型車プロモーションを推進。「謝りながら次の商品を売る」という極めて難しい営業が求められる状況。
事業領域マップ
車両開発・設計
主に軽自動車(国内向け)・OEM供給(トヨタ向け)車体設計: 軽自動車のボディ・フレーム設計。660cc以内・全長3.4m以下の制約の中で最大の居住空間・安全性を実現
パワートレイン開発: エンジン・変速機の開発。軽自動車の燃費規制(WLTCモード)への対応が常に課題
電子制御・ADAS: トヨタグループの安全技術(Toyota Safety Sense相当)を軽自動車に搭載
認証申請: 国土交通省への型式指定申請。不正問題後は特に厳格なプロセスで実施。2023年の問題の核心部分
EV・HEV対応: 軽自動車のHEV(マイルドハイブリッド)・EV化への対応。トヨタの電動化技術を活用
生産・品質管理
大阪・滋賀・京都の工場、および協力工場生産技術: 溶接・塗装・組立ラインの設計・改良。ロボット導入による自動化推進
品質管理: 出荷前の品質検査・不良品の流出防止。「認証通り」の品質を保証する体制の再構築が急務
調達・サプライチェーン: 部品サプライヤーの管理・調達コスト低減。半導体不足・材料費高騰への対応
環境・安全管理: 工場の環境規制対応、作業安全管理。ISO認証の維持・更新
工場停止からの復旧: 2024年5月の全面再開後の生産能力回復が現場の最重要課題だった
営業・販売企画
全国のダイハツディーラー(約400店舗)・個人顧客・法人顧客ディーラー営業: 全国のダイハツ販売店への支援。販売目標の設定・販促施策の提案・在庫管理支援
マーケティング: 軽自動車の広告・プロモーション。不正問題後はブランド回復のコミュニケーションが中心課題
商品企画: 顧客ニーズの調査・新型車のグレード・価格設定の企画。「どんな軽自動車が売れるか」を考える仕事
OEM営業(トヨタ向け): ピクシスシリーズ等のOEM供給に関するトヨタとの調整
管理・コーポレート
社内各部門・トヨタ本社・監督官庁経営企画: 中期経営計画の策定・実行管理。不正後の再建計画の推進が最重要課題
人事・労務: 採用・育成・評価制度。「誠実に話せる文化」の醸成が再建の柱の一つ
法務・コンプライアンス: 不正再発防止のガバナンス強化。法規制対応・認証プロセスの適正化
財務・経理: トヨタグループとの会計連携。赤字からの早期回復を目指す財務管理
ひよぺん対話
ダイハツの仕事って、不正問題の影響で今も大変なの?
正直に言うと、まだ大変な部分はある。工場は2024年5月に再開したけど、影響は続いている——
・品質保証部門: 認証プロセスを全面見直し中。「なぜ不正が起きたか」を根本から見直す作業は終わっていない
・営業部門: ディーラーとの関係修復・顧客からの信頼回復が続いている。「謝りながら売る」状況
・開発部門: 2023年から止まっていた新型車開発が再開(2025年6月に新型ムーヴ発表)。やっと前向きになれた
逆に言えば、「問題を直す仕事」そのものに携われるタイミング。「きれいな大企業で整備された仕事をする」より、「汚れた現場を自分たちで立て直す」経験に価値を感じる人向けの環境だよ。
軽自動車の仕事って、普通の乗用車の仕事と何が違うの?
軽自動車ならではの面白さと難しさがあるよ——
制約が厳しい分、設計が難しい:
660cc・全長3.4m・全幅1.48m以下という日本独自の制約の中に、成人4名が乗れて荷物も積めて燃費も良くて安全でなければならない。「限られた空間での最大化」というパズルは、通常の乗用車設計より難易度が高い面もある。
顧客が身近で見える:
タントを買うのは子育て中のお母さん、ハイゼットを使うのは農家のおじいさん。実際の使い手のライフスタイルが具体的なので、「誰のために作るか」がイメージしやすい。BtoBのデンソーや村田と違い、顧客の顔が見える。
軽自動車は日本にしかない:
この規格は日本の道路事情・税制・生活スタイルに特化したもの。「日本の地方の生活を支える」という使命感が持てる仕事でもあるよ。